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2007/07/25 水

もっとも危険でゴージャスな暮らし (2001.10.29掲載)

【社長のひとり言《Classic》】

ふと時計に目をやると深夜2:00。
「フー、もうこんな時間か・・・。一日が48時間あればいいのに・・・」
俺は嘆きながら一日のしめくくりの作業としてラストシガレットに火をつける。
シュッ・・・、スパーッ!うん・・・?火のつきが悪い・・・。
百円ライターのガスが少ない。
明日、喫茶店に行ったらライターをかっぱらおう。
フフッ、俺はなんてハードボイルドなんだ・・・・・・アチッ!吸い過ぎなんだよ。
また、フィルターまで火がきちゃった。
根元まで吸うなんて貧乏くさいと思うだろう・・・。
違うぞ、指に火傷を負うリスクを覚悟した勇気ある行為なのさ。
これぞ、ハードボイルドに生きるみゃ長のポリシーなのだ。
昔、工事現場の休憩所で、しけモク拾っていた頃からの癖が抜けないのだ。
カッコイイぜ。
自分にグッドナイトと言い一日の終わりだ。
眠りにつく。

ジリッリッリッリッリッリ・・・・・・。
近所のケーヨーホームセンターで580円で購入した目覚まし時計が、俺の聴覚を刺激する。
ハードボイルドに生きる男のルールその1・・・決して早起きをしてはいけない。
しかし、俺はそのルールを無視して早朝5:30に起床する。
早い!じぃさんの起きる時間だ。
今日も元気だ血圧200。
ハードボイルドに生きる男にクールな笑顔はつきものだ。
さぁ、朝一番に歯のブラッシングだ。
ゴシゴシ、ハードゴシゴシボイルド。
おっ、ナッシング、ブラシを口中の奥まで挿入しすぎた。
昨夜、食べた肉をリバースしてしまった。
お前サンを胃につめこんでから7時間も経っているのに、まだ、生々しい肉色をしていた。
その存在は小さくなったが、ニラともやしも出てきやがった。とりあえず、配水管を詰らせないように水ともとに流す。
次に朝刊に目を通しながら朝食をとる。
「もう!いつも8時に家を出るんだったら、もうちょっとゆっくり寝てたら。朝5時すぎからドタバタされると、こっちもうるさくて寝てられないじゃない!」
と、わけの分からないことをまくし立てる妻である。
まったく平和ボケしている現代社会の犠牲者である。

美しい野獣はダイエーのスーツがよく似合う。
スキンヘッドに口ひげ。ここまでだと完全に街中ですれ違った一般小市民は、俺に対して恐怖をいだく。
しかし、ハードボイルドな俺は、弁当の入ったポーチを手にさげ戦場に向かう。
そのアンバランスさに民衆は驚愕するのだ。
ちなみにポーチの色は鮮やかなスカイブルー。
一度、梅雨どきにポーチの洗濯が間に合わず、子供に人気のキャラクター『ポケモン』が描かれた袋で出かけたことがある。
まさに、やくざもんにポケモン・・・・・・語呂はよいのだが・・・。

俺の戦場まで電車で約50分。
しかし、俺にはその道のりも3分ほどにしか感じない。
何故ならば、ハードホイルドな男ならではの危険な乗り方をするからだ。
ひとつ隣の駅に戻り、そこから出発する始発列車に乗って座っていくのだ。
英語でいうところのイージーキセルだ。
とてもじゃないが、一般市民には真似できない行為だろう。
座ると同時に俺は意識を失う。
時には口を大きくあけ、よだれを垂らす。
ひざの上にはエブリディ・・・弁当袋だ。
時にはこいつが災いを呼ぶことが有る。
弁当の煮汁がこぼれ股間にシミをつくってしまうのだ。
これではまるで、弁当をさげ小便をちびった暴力団員。
周囲の大衆を笑いとアメージング世界に引きずり込む。

あれほど早起きしているのに、10分ほど遅刻して戦場に入る。
おとがめ無し。
何故なら、どこに行っても、俺はみゃ長だからだ。
am9:15、戦いの前に戦場内にある喫茶店に行く。
戦士の休息所である。
一杯210円、とってもリーズナブルなコーヒーを頼む。
以前、「ここのコーヒーって麦茶の味がする!」と言ってマスターに怒られたことがある。
安かろう、不味かろう・・・という言葉が、ここのコーヒーほど合うものがない。
ハードボイルドな俺は、いつもアメリカンを頼む。
味はアメリカ南部だ。
コーヒー一杯で、一緒に喫茶店に行った仲間四人と45分間ねばる。
ここのマスターは人なつっこい良い男だ。
俺はこの界隈でちっと有名(?)なKフィッシング・クラブの会長でもある。
このマスターはそのフィッシング・クラブの会員だ。
釣り好きのマスターは、休日に行って来た釣りの話しを俺に聞かせる。
俺は、黙ってフン、フンと首を縦にふって応えるだけだ。
ハードボイルドな俺は、基本的に釣りは好きではない。
どちらかと言えば嫌いだ。
いや!実は大嫌いなのだ。
じーっと一つの所に座っていることに我慢ができないし、黙ってウキだけを眺めていることにも絶えられない。
前にコラムでも書いたことがあるが、10分間黙っていると、俺は死んでしまうのだ。

さて、朝も10時過ぎ。
いよいよ戦い本番だ・・・っとその前にパソコンを開く。
当然、太陽工務店のホームページを開く。
目指すは太陽掲示板。
あいかわらずくだらん書き込みの多い掲示板だ。
とは言うものの、ちょっぴり勇気を出して、俺も書き込もうと思うのだが・・・出来ない。
ハードボイルドな俺には出来ない。
平気で書き込めるニコラス(仮名)が羨ましいかぎりだ。

そうこうしているうちに11時だ。
俺の昼食は早い。
と伴に食事にかける時間も短い。
5分で食い終わります。
それは、ハードボイルドに生きる男の条件である。
いつ何時、敵に襲われるか分からない・・・そのため、ゆっくりと食事を楽しむこともできない。
そんな悲しい宿命なのである。
決して幼い頃、ドッチボールの場所取りの為に、学校の給食を競って食った名残ではない。

am11:15、満腹で体が重い。
これでは動きにキレを欠く。
い、イカン、これでは、イカン。
一刻も早く、胃の中の食べ物を消化しなくては・・・・・・。
そのためには寝ることが一番。
「えーと、目覚ましは昼過ぎの二時半に・・・セット完了!」
ソルジャーは3時間の休息に入る。
そして、3時間後。
俺の顔にはナイフで切られたかのような無数の傷がついている。
タオルにお湯をしめらせ顔をふくと消える不思議な傷であった。
どうやらマジックで書かれた傷のようだ。
これは、次は本物の傷がつくぜ・・・という敵からの警告だろう。
油断ならない。

さぁ3時だ。
戦士にとってのおやつの時間だ。
厳しい戦士の日常の中でも食料をとり、一服する時間は必要である。
再び、仲間四人と喫茶店に行く。
そして、きっちり45分、マスターのつまらない釣り話しに愛想笑いで返す。
このコラムを読んだ者が、今度、この光景を見たら・・・とてもじゃないが、俺が嫌々マスターの話しを聞いているようには見えないのが分かると思う。
そんな俺の姿を見てハードボイルドに生きる男の厳しさを目の当たりにすることだろう。

喫茶店から帰ってきてから再びパソコンの前に座る。
そこで一時間ほど過ごす。
pm17:00、ドラマの再放送を観にTVのある部屋に行く。
夕方のトレンディードラマは、時代に乗り遅れないためにも欠かせないアイテムの1つだ。
嫌々ながらも観る。
鼻くそをほじりながら観る。
指で丸めて飛ばず。
そんな俺に、だいたい決まってこの時間に恐怖が襲いかかる。
そうコツコツと足音を立てて、そいつは部屋のドアを開ける。
瞬時に俺は身の危険を感じ、跳び伏せる。
ロングソファーの後ろに身を投げ、隠れる・・・。
ゴツン!痛てっ!
あー、なんだ夢か・・・・・・。
いつの間にかTVを観ながらソファーで寝てしまったのだ。
もう、夜の19:00であった。
帰る時間だ。

今週は、このサイクルが3日間続いた。
今日も俺は戦わずして戦場を去る。
再び電車に乗ってpm21:00に帰宅する。
子供が眠い目をこすりながら机に向かって勉強している。
「なんだ、その眠気まなこは!顔あらって来い」と叱りつける俺。
ハードボイルドな俺は、帰宅直後でも厳しいのだ。

その後、食事、風呂などで、なんだかんだいってスグにpm23:00だ。
子供たちはとっくに寝ている。
しかし、俺には、その頃になると必ず言う言葉がある。
「眠れない」
・・・そう、何故だか知らないが、まったく眠くないのだ。
戦い終わって帰宅した戦士の体は疲れきっているハズなのに、まったく眠れない。
これは、昼間のいつ、どこから敵に襲われるかわからない緊張の連続から、まだ体が開放されていないからだろう・・・。
俺は緊張を解すために、昼間、喫茶店からかぱらってきたライターでタバコに火をつけ、大きくい息をする。ふー・・・。

ハードボイルドに生きる男のフィナーレは、やはり深夜に放送しているCATVのエロ映画だ。
pm2:00までぶっ通し・・・。
「ふー、もう、こんな時間か。一日が48時間あればいいのに・・・・・・」
また、一日の終わりを告げる深夜2:00。
やっと眠りにつく、ソルジャー。

これを読んだ方、勘違いをされては困る。
当然、こんな生活が毎日続いているわけではない。
せいぜい、週に二日間ほどです。
まぁ、以前に20日間ほど連続で続いたことがあったが・・・・・・。